マクセルがAppleを訴えた特許を読んでみる (US10176848「ピープル」アルバム)

マクセル、Appleをさらに5件の特許侵害で訴える?訴訟対象は合計15件にという記事がありました。訴訟で使われた特許は以下の15件です。

 

iPhoneMacの「写真」アプリで被写体の顔を認識して人物ごとのグループにまとめる技術(特許番号10,176,848)
AppleWi-Fiアシストとして提供している、不安定な通信方法を他の通信方法で代替する技術(特許番号7,203,517)
指紋を使ってデバイスのロックを安全に解除する技術(特許番号8,982,086)
写真撮影時のホワイトバランス調整技術(特許番号7,199,821)
AppleがAirPlayとして提供している、Bluetoothを使った動画の無線送信技術(特許番号10,129,590)
徒歩でのナビゲーションや「友達を探す」などAppleのマップ機能に関連した技術(特許番号6,748,317、6,580,999、6,430,498)
Appleのカメラデザイン(特許番号8,339,493)
AirDropなどのワイヤレス通信(特許番号7,116,438)
携帯電話の電波テクノロジー(特許番号6,408,193)
呼び出し音(特許番号6,928,306)
消費電力管理技術(特許番号6,329,794)
バイスを使った他デバイスのロック解除(特許番号10,212,586)
FaceTimeビデオ通話やiTunesのビデオ機能による特許侵害(特許番号10,084,991)

 

ブログの題名から脱線しますが、これら15件の特許を読んでみることにします。

今回は、写真を人物ごとのグループにまとめる技術(特許番号10,176,848)です。

 

 

  

特許の内容

撮影した写真を顔認識して、人物ごとにグループ化し、人物ごとに再生する機能です。

 

クレーム8の概略は、

 

--- 画像の記録 ---

まず、Aさんを撮影すると、撮影した写真が顔認識されます。

ここで、スマホのアルバムに、

・まだAさんが登録されていない場合は、

 Aさんアルバムを作成して、そのアルバムに写真を登録します。

・すでにAさんアルバムが登録されている場合は、

 Aさんアルバムに写真を登録します。

 

--- 画像の再生 ---

ユーザーがAさんを選択したら、Aさんの写真を選択的に再生します。

 

 

マクセルが間接侵害を主張するApple製品

「ピープル」アルバムという機能が特許を侵害していると主張しています。

iPhone、iPad、iPod touch の写真 App の「ピープル」について - Apple サポート

写真 App は、写真に写っている人の顔を認識し、グループ分けしてくれます。認識された顔グループに名前を付けたり、お気に入りとして登録したり、その人が写っている写真を全部見たりすることができます。

 

対象OSは、iOS 12/13/14。

対象製品は、iPhone 11 (A2111), iPhone 11 Pro (A2160), iPhone 11 Pro Max (A2161), iPhone SE (A1662/A1723/A2275/A2296), iPhone XS (A1920), iPhone XS Max (A1921), iPhone XR (A1984), iPhone 8 Plus (A1864/A1897), iPhone 8 (A1863 /A1905), iPhone 7 Plus (A1661/A1784), iPhone 7 (A1660/A1778), iPad mini (5th generation) (A2133/A2124/A2126), iPad Pro (12.9”) (3rd /4th generation) (A1876/A2014/ A2229/A2069/A2232), iPad Pro 11” (A1980/ A2013/A2068/A2230),iPad (6th generation) (A1893/A1954), iPad (7th generation) (A2197/A2198/A2200), iPad Air (3rd generation) (A2152/A2123/A2153)  

 

クレームは、クレーム8、10-13、15-20 で、間接侵害(米国特許法第271条(b)(c))を主張しています。

 

 

元々はどんな出願だった?

実施例を読んでみると、「ピープル」アルバムとは、ちょっと違う内容になっています。

元々は動画撮影・編集の手間を減らす発明です。

 

具体的には、

動画撮影した後、Aさんが映ったシーンを抽出するとします。しかし、1枚のサムネイルからだとAさんが映っているかわからないので、全部動画を見ないといけません。

そこで、Aさんを指定すると、Aさんが映ったシーンを選択的に再生してくれる機能を持たせます。
これにより、チャプタやシーンを素早く、容易に見つけ出せるという発明です。

 

 

書誌事項

出願日:2014-09-05 (優先日 2008-05-19) US9159368(出願日 2009-04-27の分割出願)

登録日:2019-01-08

権利満了日:2029-04-27

発明者:吉田 麻莉

 

 特許公報

patents.google.com

 

対応日本の公開公報 特開2009-278592