マクセルがAppleを訴えた特許を読んでみる (US6329794 低電力モード)

マクセルがAppleを訴えた特許15件のうち、消費電力管理技術(特許番号6,329,794)を読んでみました。

 

 

 

特許の内容

 

携帯機器のバッテリー残量が減ってくると、使える機能を減らしていく発明です。

 

具体的に言うと、

あるレベルまで電池残量が減ったら、優先度の低い機能に制限をかけます。

さらに、電池残量が減ってきたら、優先度の比較的高い機能にも制限をかけます。

 

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例えば、クレーム9では、

容量検出器(a capacity detector )が、第1基準レベルを検出したら、優先度の低い(a lower usage priority )デバイスに対して、第1電力消費削減命令(a first power consumption reduction instruction )を送信します。

容量検出器が、第1基準レベルより低い第2基準レベルを検出したら、優先度の高い(a higher usage priority )デバイスに対して、第2電力消費削減命令(a second power consumption reduction instruction )を送信します。

 

 

マクセルが侵害を主張するApple製品

この特許のクレーム1~3と9~11について、iPhoneなどの低消費電力モードが直接侵害および間接侵害にあたると主張しています。

 

iPhone で低電力モードを使ってバッテリーを長持ちさせる - Apple サポート

 

バッテリーの充電残量が少なくなったら、低電力モードを使って iPhone の消費電力量を抑えることができます。

 

低電力モードにすると、以下の機能が制限されるか、機能に影響が出ます。

メールの取得
"Hey Siri"
App のバックグラウンド更新
自動ダウンロード
一部のビジュアルエフェクト
自動ロック (デフォルトは 30 秒後)
iCloud 写真 (一時的に停止)

 

 

基準レベルが複数あるのか、低電力モードの説明からわからないのですが・・・

 

パフォーマンス管理により、充電残量が減ると、App起動、スクロール、音量などに影響がでるので、これが第2基準レベルになるのかな?

iPhone のバッテリーとパフォーマンス - Apple サポート

 

元々はどんな出願だった?

この特許は出願時から、あまり変わっていません。

 

優先度の高い機能として音声電話、優先度の低い機能としてテレビ電話の例が挙げられており、バッテリー残量が減ってきたら、テレビ電話を切って音声電話できる容量を残します。

 

2000-09-07に出願して、2001-12-11に登録。分割出願もありません。

特定の製品を狙い撃ちした権利ではなさそうです。

 

 

 

書誌事項

出願日:2000-09-07 (優先日 2000-05-22)  

登録日:2001-12-11

権利満了日:2020-09-07

発明者:大條 成人、森 直樹、伊藤 浩道

 

公報リンク

patents.google.com

 

日本語で読みたい人は

特開2001-331242