マクセルがAppleを訴えた特許を読んでみる (Apple TV レンタル映画の視聴可能期間)

マクセル、Appleを12件の特許侵害でさらに訴える〜訴訟対象は合計27件にという記事がありました。

今回は、Apple TV でレンタルした映画の視聴可能期間についての特許「デジタル情報の記録装置、再生装置、送信装置(特許番号10,592,372)」を読んでみました。

 

 

 

特許の内容

 

映画をレンタルすると、貸出期限(例えば30日)が設定されています。

ただし貸出期限の時点で、その映画を視聴し始めている場合は、貸出期限30日を過ぎても、映画を見終えるまで猶予の時間(例えば48時間)が与えられます。

 

例えば、クレーム31の内容は以下の通りです。(なげー・・・)

 

暗号化された音声/映像情報および音声/映像情報に関連する制御情報を受信します。ここで、配信後および配信場所とは異なる場所での音声/映像情報の再生を制御するための制御情報です。

⇒ 音楽や映画をレンタルするってことですね。

 

音声/映像情報および制御情報をメモリに一時的に格納します。

⇒ ストリーミングでなく、ダウンロードによる視聴です。


制御情報を検出します。制御情報は、音声/映像情報の再生を可能にし、所定の時間および第2の期間の満了後に再生を無効にする第1の期間を示すデータを含みます。第2の期間は、第1の期間内の音声/映像情報の最初の再生の開始時に始まり、第1の期間よりも短いです。これにより、音声/映像情報の再生を可能にし、かつ、音声/映像情報の第1の再生の開始後、所定の時間が経過した後、再生を無効にします。

⇒ 後でまとめて説明します。


暗号化された音声/映像情報を復号化します。


第1の期間および第2の期間に関連する制限と一致する音声/映像情報を再生します。
ここで、第1の期間の開始からの経過時間が第1の期間内であり、音声/映像情報の第1の再生の開始からの経過時間が第2の期間内であることが確認された場合、音声/映像情報を再生できます。

⇒ ダウンロードから第1の期間(例えば30日)内に再生が開始され、再生開始からの経過期間が第2の期間(例えば48時間)以内の場合、再生は可能です。


音声/映像情報の再生が第1の期間の終了前に開始され、再生が第1の期間の終了時に継続していることが確認された場合、音声/映像情報を第1の期間の終わりを超えて音声/映像情報の終わりまで再生することをが可能です。その後、音声/映像情報の第1の再生の開始からの経過時間が第2の期間内であっても、別の再生を開始することは可能ではありません

⇒ 前の段落と重複するのですが、ダウンロードから第1の期間(例えば30日)内に再生が開始され、再生開始からの経過期間が第2の期間(例えば48時間)以内の場合、映画を最後まで再生することが可能です。しかし、その後、第2の期間内であっても、別の再生を行うことは禁止されています

 

 

マクセルが侵害を主張するApple製品

 

Apple TV App の映画レンタルが本特許のクレーム1-6、16-21、31-36を侵害していると主張しています。

ちなみに、米国特許法 271 条の(a)(b)(c)全てで訴えています。クレーム1-6はシステム、クレーム16-21はそのMeans-plus-Function クレーム、クレーム31-36は方法クレームとなっています。

 

Apple TV App で映画をレンタルする - Apple サポート

 

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レンタルしてから30日以内に視聴を開始れば、プラス48時間の視聴が可能です。

この30日がクレームの「第1の期間」に対応し、48時間が第「2の期間」に対応するわけですね。

 

ほかのレンタルビジネス、例えばAmazon Prime Videoでも訴訟するのかなあ、、、。

サブスクリプションは対象外ですね。 

 

 

書誌事項

出願日:2017-08-30 (優先日 2000-12-13) 
登録日:2020-01-07
権利満了日:2021-10-19
発明者:岡本 宏夫、尾鷲 仁朗、吉岡 厚

 

patents.google.com

 

日本語で読みたい人は公開公報(特開2002-251819)をご覧ください。

 

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