マクセルがAppleを訴えた特許を読んでみる (音楽ファイル形式を自動切換え)

マクセル、Appleを12件の特許侵害でさらに訴える〜訴訟対象は合計27件にという記事がありました。

今回は、iPhoneiPad様々な音楽ファイル形式を扱える技術についての特許「多重オーディオデコーディング装置及び受信装置(特許番号6,816,491)」を読んでみました。

 

 

 

特許の内容

音声データを自動識別またはユーザ指定したファイル形式で、圧縮および復号化する特許です。

 

 

例えば、クレーム7の内容は以下の通りです。

・圧縮と復号化された音声データの圧縮と復号化の方法を抽出するデマルチプレクサと、

・外部(外部ROM)から、その方法に対応する復号化プログラムコードを取得して保存する第1のメモリ(内部RAM)と、

・その復号化プログラムコードを使って復号化するDSPと、

を含む多重化されたオーディオデータデコーダ装置。

 

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クレーム8は、デマルチプレクサでファイル形式を抽出するのではなく

ユーザーI/Fから入力されたファイル形式を使います。

 

 

マクセルが侵害を主張するApple製品

例えば、iPhone XSで、少なくとも本特許のクレーム7、8を侵害していると主張しています。

 

iPhone XS  の仕様を見ると、様々なオーディオ形式に対応していることが記載されています。

iPhone XS - 技術仕様

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訴状によると、ボイスメモの録音にm4a、FaceTimeAACポッドキャストにMP3が使われているそうです。

 

これらの異なるファイル形式の音声データを再生するときに、iPhoneが復号化プログラムを選択してくれているはずです。

 

この自動選択機能がクレーム7を侵害していると言いたいようです。

 

これって出願した1998年には無かった技術なのかなあ。

 

書誌事項

出願日:1999-11-03 (優先日 1998-11-04) 
登録日:2004-11-09
権利満了日:2019-11-03    権利満了
発明者:藤井 由紀夫、小畑 信一、白根 弘晃、山本 英治

 

patents.google.com

 

日本語で読みたい方は 特開2006-042373 をご覧ください。

 

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